最南端の鉄路をガタゴトと

さて、かつおラーメンでお腹を満たし、続いて指宿枕崎線に乗ります。この指宿枕崎線は鹿児島から見て途中の山川までは本数が多いのですが、その先は極端に本数が減ってしまいます。なのでプランニングに苦労し、当初は下りに乗って西大山でいったん降りて、1時間半後の下りで枕崎を目指すプランでしたが、これだと枕崎で時間が取れず、鹿児島中央での新幹線への乗り継ぎと熊本での飛行機乗り継ぎに余裕がなくなってしまいます。その後の調べで昼間の列車は西大山で2分止まるのが判明したので、バスで枕崎入りし、散策したあと指宿枕崎線に乗るプランに変更したのでした。これなら鹿児島中央や熊本の乗り継ぎも余裕が出来ます。


ホロ:「えーっと、駅の入口はどこにあるのかや?」
駅長さん:「うん、そこのラーメン屋のところに細い道があるだろ。そこが駅の入口だそうだ」

ホロ:「なんと!列車が1日6本しか来ないのかや!」
駅長さん:「そうだね。だから、列車でこの駅に来るにはしっかりと計画を立てないとダメなんだ」


ホロ:「“JR日本最南端”とは微妙な表記じゃな?」
駅長さん:「確かに昔は本当の最南端の駅だったんだが、沖縄にゆいレールが出来て赤嶺駅が最南端の駅になったんで、“JRで繋がっている”最南端の駅として表記されているようだ」

キハ47の2両編成の列車は、ワンマン運転ということもあって前の車両に乗客が集中しています。そうは言っても、2両で20人ちょっとしか乗っていませんが…。枕崎を発車すると、列車は縦横無尽に揺れながら走ります。座席にバネが効いているせいもあって、その揺れが増しているのかもしれません。また、沿線は草木が繁り、時折車体にバチバチと当たっています。そんな草木の隙間からは、遠くに開聞岳が見えます。「駅長さん」は後ろの車両に乗ったのですが、降りる人はいても乗る人はいないようです。

 
ホロ:「こういう最果ての駅には、ちょっと古めかしい車両の方が似合うのぉ。お、ここに座るとちょうど駅名標と一緒に撮れるそ。早く撮ってくりゃれ」
 
ホロ:「あの遠くに見える山は?」
駅長さん:「あれは開聞岳といって、きれいな山の形から“薩摩富士”とも呼ばれているんだ」
ホロ:「1時間ちょっとで、結構大きくなってきたぞ」

ホロ:「ここが最南端の駅・西大山駅じゃな。無人駅だから駅前には何もないが、それがまた最果てな感じを醸し出しておるのぉ」

ホロ:「さっきまで前に見えていた開聞岳が、ここでは列車の後ろ側に見えるんじゃな」

ホロ:「上り列車なら、車内から最南端の駅の碑を撮ることも可能じゃ」

西頴娃駅で下り列車と交換すると、さっきまで遠くに見えていた開聞岳が大きくなってきました。開聞岳を真横に望む開聞駅を出ると、次は西大山です。時間通りに到着すると、車で来ていると思しき観光客がいて、撮影会が始まります。列車の乗客も短い停車時間を駅名標や最南端の碑を撮影するのに余念がありません。2分の停車時間ののちに発車すると、程なく終点の指宿に到着します。
指宿からは「リリカルなのはなDX6号」に乗り換えますが、その前に枕崎からの運賃精算をします。今回の「霧島・指宿のんびりきっぷ」のフリー区間に指宿〜枕崎間が含まれていないのはちょっと残念です。精算を済ませ、「なのはな」の席に座ります。車内のイメージは昨日乗った「いさぶろう」や「はやとの風」と同じですが、こちらは新しいキハ200形をベースにしています。発車するとこれまでの東シナ海から錦江湾に風景が代わり、より海に沿って進みます。喜入を出た辺りで巨大な石油備蓄基地を望み、快速区間の終わる坂の上では多くの乗客が待ち構えていました。ま、さすがに指定席には乗って来ませんでしたが…。鹿児島中央到着前に鹿児島総合車両所を横目にし、軽やかに鹿児島中央駅に滑り込んだのでした。

 
ホロ:「今度はまた洒落た列車で移動じゃ」
駅長さん:「観光地・指宿に向かう観光列車として走っている「なのはなDX」だよ。この車両だけは普通の車両よりも観光客に特化した造りになっているんだ」

ホロ:「海の向こうに見えるアレはなんじゃ?」
駅長さん:「アレは喜入の石油備蓄基地で、あそこだけで日本で使う石油の2週間分を貯め込んでおけるそうだ」