振り子のリレーで最終目的地へ

高知からは「南風」→「やくも」の振り子特急リレーで米子に向かいます。土讃線のスプリンター「南風」は、3両編成という短い編成で高知を発車します。導入からしばらく経っているとはいえ、JR形の気動車らしく豪快なエンジン音に比例して鋭い加速をしていきます。また、振り子機構を搭載していることもあり、カーブに差し掛かると思いっきり車体を傾けて高速で通過していきます。

 
ホロ:「この『南風18号』は、特急列車なのに3両しかつないでないのかや?」
駅長さん:「まあ、こっちの方は高速バスとの競争が激しいからね。少しでも効率的に走らせないとならないんだ」
ホロ:「やっぱり、列車に乗ったら駅弁じゃな。これで酒があれば言うことないわ」

土佐山田を出ると、2000系の本領発揮とばかりに車体を左右に傾けながら山あいの線路をかっ飛んでいきます。しばらくすると吉野川が寄り添ってきますが、この辺りは一面の銀世界が広がっています。いや、冗談でも何でもなく、「こりゃ高速も通行止めになるわな」と思うくらいの積もり方です。もちろん、この48時間前の大雪の比ではありませんが…。大歩危小歩危の辺りが雪のピークで、阿波池田に着く頃にはすっかり雪のゆの字も無くなったのでした。讃岐平野を駆け抜け、瀬戸大橋を軽やかなステップで渡れば、「南風」の終点・岡山もすぐそこです。

 
ホロ:「『大歩危』とは変わった地名じゃの?駅前には『歩危マート』なる店があるようじゃ」
駅長さん:「このあたりは四国でも有名な渓谷があるんだ。有名なつり橋もあるから、次来る機会があったら行ってみよう」
ホロ:「お、瀬戸大橋じゃな。鉄道側からだと柱が邪魔じゃが、それでも海の上を飛んでいるようじゃ」

岡山からは約20分の待ち合わせで「やくも」に乗り換えます。ただ、東海道・山陽新幹線が雪の影響で遅れているらしく、我らが「やくも」にも影響が出そうな予感。岡山こそ時刻通りに発車しましたが、生山・根雨に臨時停車するとのコト。倉敷から伯備線に入り、備中高梁を出ると中国山地に挑みます。こちらも振り子機構を備えた381系ですが、さっきの「南風」に比べれば傾きも急ではなく、それに比例してカーブ通過時の速度も早くないような気がします。新見の辺りでもう真っ暗になりましたが、車窓に目を凝らすといつの間にか大雪に覆われていました。この年末年始に大雪に襲われたこの辺りですが、まだその余波が残っていそうです。それに合わせるかのように、交換する上り「やくも」に遅れが出るようになりました。なんだかんだで12分遅れで米子に到着したのでした。48時間前の羽後町に比べれば寒さはマシですが、路面は程よく凍っているので足元に注意しないと足を滑らせてしまいます。


ホロ:「次のランナーは『やくも』じゃな。こっちの列車は古めかしいというか見慣れたデザインじゃな」
駅長さん:「確かに、色こそ変わっているけど、国鉄型の特急電車だからね。こういう形の方が落ち着いているかもね」

で、駅前のサティにある青い看板の店で10コめのスタンプを押印し、第三弾のお出かけを締めくくったのでした。