地底の神秘を学んで地底の恵みを享受 18:30

で、豊富駅から再び「萌えっ子フリーきっぷ」を使って羽幌に戻ります。とはいえ、ストレートに戻るのもアレなんで、寄り道しながらの帰り道です。バスは「駅長さん」を含めて2人を乗せて発車し、豊富温泉で1人降りて2人乗り、幌延への山道を進みます。その途中、森に覆われた通りからパッと風景がひらけ、牧場と似つかない展望台と異様な工事現場が見えてきます。ちょうど、「深地層研究センター」というバス停があったので途中下車です。この「深地層研究センター」では、奥深い地層を研究するために500mという深さの穴を掘っているそうです。それと一緒に、原発で発生した使用済み燃料を地中に埋めて処理するための研究ということもあるようですが*1。展望台にあがると、幌延の町並みが一望できます。…って言っても、あたり一面緑の山しか見えませんが…。ここでも利尻富士が見えるそうですが、残念ながら雲に覆われて見ることは出来ませんでした。

 
左:「なんだか、山の中とは場違いな感じになったわね。こんなに人里離れた場所に、わざわざ来る人なんているのかしら?」
右:「隣はトナカイ牧場だそうよ。道路を挟んだ向こうは牧場が広がっているし、この施設だけがどうしても異質な感じがするわ」
 
左:センターにある見学施設は、エレベーターで地下奥深くにある立坑に潜っていきますが、秒速4m=時速14.4kmで下っている割には耳ツンが発生しない仕組みになっています*2
右:展望台からは豊富・幌延の街並みが…、もとい牧草地帯を一望することが出来ます

続いては、1時間後の留萌行きに乗って天塩へ向かいます。例のごとく「駅長さん」を含めて2人しか乗っておらず、大型の観光タイプのバスがそのポテンシャルを持て余しています。幌延駅でも乗車は無く、国道232号に入ってからも淡々と南下していきます。天塩町に入り、天塩高校で学校帰りの学生さんを乗せ、車内が賑わいます。天塩の市街地の中で「てしお温泉夕映で降りる方はお知らせください」と放送があり、降車ボタンを押して到着を待ちます。「てしお温泉夕映」はホテルと日帰り温泉が一緒になった施設で、「夕映」とあるように海っぺりに建っているので夕陽を間近に見れる温泉があります。ちょうど夕陽が見れそうな時間にここに来れそうだったので、温泉で疲れを癒すと共に、今夜の夕食を食べようという算段です。
手続きを済ませ大浴場に入ると、夕陽がいい感じで沈んできています。今日は朝に雨が降ったものの、昼からは晴れ上がったので*3、雲ひとつ無い夕陽を拝むことが出来ました。昨日も晴れていれば、特急はぼろ号でもサンセットクルージングが出来たんでしょうね…。で、お風呂をあがり、レストランで夕食を食べることに。ここでは天塩の名産を使った「タコキムチ丼」を食すことに。天塩はシジミで有名だそうですが、タコも同じくらい取れるそうで、しかも各家庭でキムチを漬けているそうなので、タコとキムチがコラボレートすることになりました。タコとキムチの卵とじと鮭とタコのメンチカツが乗っかった丼は、キムチの辛さとタコの食感がおいしい逸品でした。併せて、沈む夕陽を見ながらの一杯は格別です。


さて、留萌へ直通する最終便に乗って、手塩温泉へ向かいましょう
 
左:てしお温泉夕映にて。「萌えっ子フリーきっぷ」のエリアには温泉地が多く、日帰り温泉三昧のバストリップもできます
右:さすがに浴場からの夕陽撮影は自重しましたが、レストランからもギリギリ沈む間際の夕陽を撮ることが出来ました

ラストは羽幌へ向かう最終バスに乗ります。フロントでバスに寄り道してもらうように依頼し、バスの到着を待ちます。バスは帰宅の高校生を乗せていますが、ガラガラです。その昔、羽幌線時代の通学時間帯は列車一杯に学生が乗り込んでいたんでしょうが、今となっては寂しい限りです。途中のバス停で乗り降りは無く、遠別で入れ替わりがあったほかは至って動きの少ない車内でした。また、行きと異なりどっぷりと日が暮れた中での走行でしたが、自分の車のライトしか頼るものが無いというのは怖いですね。まだ国道は対向車や追い抜いていく車があるのでマシですが、国道を外れた集落を結ぶ道路に入ると、沿道に人家も無いので路肩をあらわす赤矢印が延々と反射しているだけで怖さがいっそう増します。交差点を曲がるときも進行方向でないほうを見ると、そっちが漆黒の闇に包まれていて、なんだか吸い込まれそうな雰囲気が漂っています。で、天塩から1時間半、羽幌に戻って「萌えっ子フリーきっぷ」の旅が終わったのでした。

*1:実際にここに埋めないという取り決めはあるようです

*2:いやむしろ、そんなに奥深くないかと(笑)

*3:道央〜道東にかけては夕方大雨が降ったようですが