幻想的な雰囲気と厳かな雰囲気の融合*2

さて、湯沢から西馬音内にバスで向かうのは、第1回のかがり火天国以来でしょうか*1?久しぶりのバスに乗って、国道から外れた集落を縫うようにして進みます。途中で雄物川を渡れば、今回10度目となる羽後町に入ります。
中心部の手前、羽後警察前でバスを降り、ちょっと歩いて羽後町の情報発信基地・ミケーネへ向かいます。今回のお出かけは、先日放送されたクローズアップ現代で晴れて大役を果たした平木さんと、Realize-Artsの燈さんと行動を共にしていますが、さすが大役を果たされた平木さんだけあって町内でも知られた存在になっています。また、ミケーネを中心に交流の輪も広がっているようです。ミケーネで一服し、花嫁道中のスタート地点である町役場へ向かいます。
花嫁道中に付き添って歩く「キャンドルライトウォーキング」の受付を済ませると、出発式が始まります。今回の花嫁道中は、新郎が24歳、新婦が22歳というカップルです。挨拶が済むと馬車に乗り込み、出発です。今回の花嫁道中は雪が少ないということで、馬そりではないのが残念ですが、付き添って歩くのには楽な環境かも知れません。14時30分、長谷山邸までの約12km・4時間半に渡る花嫁道中がスタートしました。
この花嫁道中、ただ長谷山邸までの約12kmを行くだけでなく、途中途中の集落で歓迎の式典を受けながら進んでいきます。まず最初に西馬音内の中心部にあるかがり火広場で最初の式典です。街をあげて新婚さんを祝い、そのお返しの餅投げもあって、和やかな雰囲気です。また、甘酒や豚汁の振る舞いもあるので、これからの長い道中に備えて燃料補給できました。
かがり火広場でノンビリしているうちに本隊は出発して、結構先に行ってしまったようです。昨年も走破した平木さん曰く、「途中で何度も休むから大丈夫」とのことなので、慌てずに追いかけることに。そしたら、弥助そばで休憩している*2本隊に追いついたのでした。ここでは祝い酒を振る舞っていて、私たちもご相伴に預かったのでした。
再び出発し、今度は本隊から離れないようにして歩いていきます。沿道の家の前には小さなかまくらがあつらえれていて、そこにろうそくの明かりが灯っています。家によって大小さまざまですが、工夫を凝らした物もあって見ていて面白いです。続いて七曲峠の入口に当たる元西地区で歓迎を受けます。ここからの山歩きに備えて、馬も人も一休みといった感じです。
ここからが花嫁道中の真骨頂ともいえる七曲峠です。車では何度も通っていますが、さすがに歩いて登るとなると急な上り坂が体に堪えます。それでも、峠に入ってすぐのお宅で歓迎の接待を受けつつ、ちょっとした休憩を挟みます。この頃には陽も落ちてきて、コンパクトタイプのデジカメでは撮影が厳しくなってきます。同行の平木さんをはじめ、周りには本格的なデジタル一眼が多いので、暗さをものともせずにバシバシ撮影していきます。今年は雪がかなり少ないようで、路面はアスファルトがむき出しになっています。本来ならば積もった雪で歩くのが困難になるのでしょうが、歩く側からするとちょっとありがたい限りです。道路の両サイドには除雪した雪で雪壁が作られていて、それをくりぬいてローソクを灯しています。これが「キャンドルライトウォーキング」の所以で、暗くなってくると暗闇の中をローソクのオレンジの明かりが点々と続く幻想的な風景を見ることが出来ます。途中の羽後町が一望できるポイントで撮影しているうちに本隊から離れてしまい、そういう風景が見られたのは結果オーライだったかと。そのまま本隊に付いていったら、車のヘッドライト&テールライトでちょっと残念だったかもしれません。
そろそろ山登りも限界になってきた頃、ようやく頂上に到着です。ここでも歓迎イベントが行われていて、多くの住民・観光客が待ち構えていました。ここで、新婚さんによるセレモニーということで、ガス灯への点火式が行われます。新婦がガス灯への点火をすると、祝いの花火が打ち上げられ、お祝いムードに花を添えていました。
峠の頂上まで来て、長谷山邸まで残り4kmとの事で、あと1時間ほどの道のりです。このあたりだとさすがに路面に雪が積もっていて、足元に注意しなければなりません。道幅が狭いので渋滞が酷いのですが、坂を下りきって道幅が広くなったところで順に本隊を追い越していき、ちょっと歩きやすくなったところで、最後の歓迎スポットで一休みです。ここを出発してチョット歩くと、目指すゴールである長谷山邸の明かりがボンヤリと見えてきます。ただ、見えてくるといっても、なかなか近づいてきません。さすがに足が痛くなってきますが、そこは最後の力を振り絞ってゴールを目指します。
そしてスタートから約5時間、ゴールである長谷山邸に到着しました。ゴールだけあって大々的にお祭りが行われていて、そこに花嫁道中の新婚さんが到着したので、盛り上がりもクライマックスに達します。祝いの歌から餅・みかん撒きと祝いの行事をし、ラストに花火の打上げとなります。今回25周年ということで、かなり気合を入れた花火を打ち上げるとのことで期待しましたが、花火はその期待に十分すぎるほど応えたものでした。「駅長さん」としても、まさか冬の盛りに咲く大輪の花を見ることが出来るとは思いませんでした。まさしく真冬のファンタジーといったところです。
セレモニーが滞りなく終わり、花嫁道中が無事に終了しました。で、ここで急に現実に戻ったりするわけですが、とりあえず峠を下って町役場まで戻らなくてはなりません。「キャンドルライトウォーキング」に参加している人は役場まで送迎があるということで、これに乗って峠を下ります。…っていうか、これに乗らないとまた歩いて峠を降りるようです(笑…えない)。車は「駅長さん」たちが歩いてきた道をかっ飛ばしていきます。峠に差し掛かるとまだローソクの明かりがついていて、暗闇と白い雪壁にローソクの明かりが点々としているという風景が見れました。通な人曰く「峠は行きよりも帰りに見たほうがよい」ようですが、下手に人工の明かりが無いところで見たほうが幻想的な雰囲気は高まりそうです。車は、行きに5時間かけて歩いてきた道を30分ほどで駆け抜け*3町役場に着いたのでした。ここで今回ご一緒させていただいた方々とお別れし、平木さんと二人の珍道中(?)が始まります。…って、この時点でノープランだったんですが(爆)。

*1:西馬音内から湯沢へ向かうのは第2回のかがり火天国の時以来

*2:実際には新郎新婦が挨拶をしているようです

*3:途中は集落を通らずに県道を通りましたが